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南摩ダム建設予定地観察会に参加(環境問題を考える会)

公開日:2019年04月27日 最終更新日:2022年04月19日

タイトル 南摩ダム建設予定地観察会に参加(環境問題を考える会)

詳細

 4月21日(日)、下記による南摩ダム建設予定地の自然観察会に今年も当会の会員有志が参加しました。当日は天候にも恵まれ、現地の貴重な自然・生態系と共に、必要性を疑問視されている長期ダム工事の実態を体感することができました。以下、概要を紹介します。

日時:2019年4月21日(土) 9時~12時
集合場所:鹿沼市上南摩室瀬(竜神様神社)
主催:思川開発事業を考える流域の会
   日本野鳥の会栃木県支部
   水環境条例制定ネットワーク

 南摩ダムは50年以上も前に思川開発事業の一環として計画されました。地形的にはダムに適していますが、南摩川の水量は非常に少ないので、肝腎の水は他の川に依存する計画でした。しかし、当てにしていた大谷川は今市市(現日光市)の取水拒否があり、貯水量を半分に変更しましたが、それでも水収支が成り立たないダムとして疑問視されています。
 利水については、栃木県が県南市町の水道水源に使うことを画策していますが、対象の2市1町(栃木市、下野市、壬生町)の水道水は100%地下水でまかなっており、水需要量も減少傾向にあります。もし下野市で一部でも南摩ダムの水を使うことになれば、市の水道水はまずくなり、水道料金も跳ね上がることが懸念されます。更に今回観察された貴重な自然の生態系を、上記のようなダム建設で消滅させてよいのかとの疑問があります。
 去る2月4日に市民有志が県庁を訪問し、この問題で県と協議しましたが、ダムの水の必要性について県から合理的な説明は得られませんでした。地下水100%の水道水維持を求める市民8,369筆の要望署名も踏まえて、多くの市民の声を市政にどう生かすのか、今後の市の対応が注目されます。(関連報告は下記)
http://shimotsuke.genki365.net/gnks17/mypage/mypage_sheet.php?gid=G0000019&id=26758
http://shimotsuke.genki365.net/gnks17/mypage/mypage_sheet.php?id=26781

朝9時、集合場所となった上南摩町室瀬の「竜神様」社前に集まった参加者の皆さん。
一般市民と子どもも含めて約30名が参加。下野市からは当会の会員が3名参加しました。

同左。出発前に主催者代表として伊藤武晴さん(思川開発事業を考える流域の会)が当日の予定を説明(中央)。右から三人目は日本野鳥の会栃木県支部の内田さん。

集合場所から南摩ダム建設予定地方面を望む。
昨年は緑で覆われていた山が既に丸裸にされていることに衝撃を受ける。

集合場所より自家用車に分乗し、新たに開通した付け替え県道のトンネルを行く。
(従来の県道はダムが完成すれば水没することになっている)

付け替え県道を自家用車で沢の入り方面へ向う。前方は旧県道との合流地点。
周囲の山々は樹木が伐採され、ヤマツツジ等の生態系も消滅している。

ダム本体予定地を越え西ノ入地区への林道に入ったところでで車を降り、南摩川の支流に沿って上流側に歩き始める。
川に水はなく、完全に干上がっている。これで水が溜るのか、改めて南摩ダムの有効性に疑問がわく。

笹之越路方面への林道は工事中で閉鎖されている。

西ノ入へ向う途中で見つけたタラノメ。
既に収穫された後が見える。

かなり奥まで入ると、僅かながら川に水が残っていた。ヤマメやサワガニ等の水棲生物は棲息できるのか心配になる。
ダムができれば、この辺りも水没することになっている。

ウグイスの谷渡りが響く中で野鳥の姿を捜す参加者の皆さん。このとき、上空を飛ぶサシバの姿を見つけ、歓声が上がる。

道端にある小さな池で水棲生物を採取。
この池にはヒキガエルの卵(孵化前)が大量に見られた。ダムができた後、このカエルたちに生きる場はあるのか。

西の入林道の支線に入口。
左手の奥に人工的に設置された植物保全区域がある。しかし、ダムで消滅する自然環境や生態系が一部を移植したことで保全されるのか疑問視されている。

植物保全区域に移植されたヤマナシの木。
白い花が満開になる見頃はこれからか。

南摩川支流の渓流の中で水棲生物を採取する参加者の皆さん。

当日採取された水棲生物が葛谷理子さん(栃木県環境アドバイザー)から紹介されました。
採取されたのはカゲロウ、カワゲラ、サワガニ、ハグロトンボ(幼虫)カワニナ等。

当日観察された野鳥について報告する内田さん(日本野鳥の会栃木県支部)。
観察された野鳥はキジバト、トビ、サシバ、カワセミ、コゲラ、カケス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、キセキレイ等。

当日観察、採取された蝶について報告する葛谷健さん(元自治医科大学医学部教授)。
葛谷さんは蝶の権威でもあり、紹介されたのはキタキチョウ、ミナミキチョウ、モンシロチョウ等。

帰り道で付け替え県道の高台に設置された展望台に立ち寄る。ここからダム本体建設予定地の全域を見渡すことができる。

展望台より南側を望む。左手奥は集合場所の上南摩室瀬(竜神神社)方面。
この一帯にロックフィルダムの本体が建設される予定。昨年までは一面緑に覆われていた山々が伐採されて丸裸になっている。

同左、南西側(西ノ入方面)を望む。
改めて、ダム建設とは自然破壊に他ならないことが実感される。

展望台より北側(反対側)を望む。
緑を失った山肌の中に付け替え県道のトンネルと橋が見える。

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