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日本地下水学会セミナーに参加(環境問題を考える会)

公開日:2020年01月27日 最終更新日:2022年04月19日

タイトル 日本地下水学会セミナーに参加(環境問題を考える会)

詳細

日本では阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震等の震災に加え、最近は台風や集中豪雨にいよる水害も多数発生していますが、その都度、緊急の生活用水として井戸水が大きな役割を発揮しました。2014年には水循環基本法が制定され、改めて地下水の有功活用が見直されています。
 このような背景の下、1月17日(金)日本大学文理学部において日本地下水学会によるセミナー「災害時における水の確保~地下水利用の現状と課題をさぐる」が開催され、当会からも有志が参加しました。地下水100%を水道水源として利用している下野市民にとっても、大変有益な情報を得ることができたので、以下に概要を紹介します。(左記の案内チラシも参照下さい。)

日時 2020年1月17日(金)13:00~17:00
会場 日本大学文理学部3号館3206教室
   (東京都世田谷区桜上水3-25-40)
題目 災害時における水の確保
   -地下水利用の現状と課題をさぐるー
内容 国土強靭化計画と地下水研究
   自治体の取り組み(熊本市、秦野市)
   東日本大震災から学ぶ井戸利用
   (詳細は左記案内チラシ参照)
主催 (公益社団法人)日本地下水学会
           http://jagh.jp/
その他 左記案内チラシ参照 

 今回のセミナーに参加して、地下水は表流水よりも災害に強いこと、それを有功利用するために地下水層の把握や涵養が必要であることが科学的に理解できました。下野市でも恵まれた地下水の保全と有効活用が必要であると思います。

当日の会場となった日本大学文理学部のキャンパス。正面の建物がセミナー会場のある3番館。

会場の3206教室には研究者や学生、自治体関係者、一般市民等が集まり、約100名の参加者で一杯になりました(この種のセミナーでは異例であるとのこと)。

当日の司会を担当する竹内真二さん(日本地下水学会企画委員長、日本大学文理学部教授)

「国土強靭化計画に基づく震災時の地下水利用に対する考え方」について解説する五十嵐崇博氏(応用地質(株))
地下水を貴重な資源と捉えて有功活用するため、地下水シミュレーションモデルの解析手法が紹介されました。

「濃尾平野の扇状地河川からの地下水涵養・流動特性」について報告する神谷浩二氏(岐阜大学、地盤工学・地下水工学)
濃尾平野の扇状地における地下水位と地盤沈下の観測結果に基づき、同地区での地下水涵養量と揚水量の関係が紹介されました。

「濃尾平野の地盤沈下を考慮した適性揚水量の検討事例」について報告する大東憲二氏(大同大学・総合情報学科)
濃尾平野での地盤沈下や地下水位の経年変動に基づき、帯水層をモデル化して累積沈下量を予測した結果と揚水可能量を検討した事例が紹介されました。

「熊本地震の経験と教訓」について報告する永田務氏(熊本市・水保全課長)
水道水を100%地下水でまかなう熊本市が2016年の地震で経験した被害と復旧、その後の対応(災害時の井戸水提供体制)が」紹介されました。

「秦野市における被災時地下水利用の準備状況」について報告する谷芳生氏(秦野市・環境共生課長)
水道水の大半を地下水でまかなう秦野市について、関東大震災の被害や上水道の現状、被災時の対応として非常用井戸や地域コミュニティの構築等が紹介されました。

「健全な地下水資源活用のための提言~東日本大震災での井戸の被害状況」について報告する石塚学氏(全国さく井協会・北海道支部長)
東日本大震災における各地の井戸被害と要因・対策に基づき、災害時の地下水を利用した地域防災計画や健全な地下水資源活用の提言が紹介されました。

最後に質疑応答に臨む講師の皆さん。
会場の参加者からは多数かつ多彩な質問が出され、限られた時間でしたが充実した質疑応答が行われました。以下、当日の資料から抜粋したものを紹介します。

岐阜大・神谷氏の資料より。
濃尾平野における帯水層、地下水位と地盤沈下の観測結果が示されている。地盤沈下防止対策によって地下水位が復元し、地盤沈下も収まっていることがわかる。

同左。
地下水位を維持するために、揚水量と地下水涵養量のバランスが必要であることを図で示している。

大同大学・大東氏の資料より。
濃尾平野における地下水位と地盤沈下の観測結果から地層を3次元モデル化し、災害時応急井戸での揚水量と地盤沈下量をシミュレーション解析。この事例では100L/日までなら地盤沈下しないことを示す。

熊本市・永田氏の資料より。
水道水を地下水100%でまかなう全国の自治体が人口規模順に紹介されている。1位は熊本市、2位は岐阜市だが、栃木県からも足利市と栃木市がベストテンに入っている。

全国さく井協会・石塚氏の資料より。
地下水は水道水として経済的かつ美味しいだけでなく、災害に対しても表流水より優位であること、地域防災計画における地下水利用の現状が紹介されている。

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