環境問題を考える会・第27回総会&記念講演を開催
2024年7月21日(日)午後1時半より下野市市民活動センター研修室3において、環境問題を考える会の第27回総会および記念講演を開催しました。総会では下野市環境課の若林課長からいただいた祝辞メッセージを紹介した後、前年度の活動報告と会計報告がされ、今年度の予算、世話人会役員および活動方針が提案されて、いずれも満場一致で承認されました。
2011年3月の福島第一原発事故により、私たちは原発事故の恐ろしさを思い知らされたはずでした。放射能の拡散によって広範囲も住民が避難を余儀なくされ、今も3万人近い住民が避難生活を強いられています。放射性廃棄物は処分の目処が立たず、廃炉作業も進まず、事故により発令された原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。能登半島震災では、原発周辺の避難計画も機能しないことが明らかになりました。その一方で、政府は脱原発依存の方針を原発回帰に180度転換し、原発に関わる「原子力ムラ」は福島の事故を忘れたかのように原発の再稼働や稼働延長を進めています。老朽化した東海第二原発に近い栃木県も人ごとではありません。
環境問題を考える会では、今年3月に福島第一原発と周辺地域の視察会に参加し、原発構内を含む現地の実態を直接体感してきました。今回の記念講演では、この視察会に参加した当会の中里代表に現地の状況を報告していただき、それを踏まえて改めて原発問題をどう考えるか解説していただきました。以下、概要を紹介します。
会場入口に設置された受付(資料の配布、会費・カンパの受付等)
開会の挨拶をする中里代表
下野市環境課の若林課長からいただいた祝辞メッセージを代読する司会の平戸事務局員
若林課長は当日公務で出席不可とのことで、下記のメッセージをいただきました。
総会資料により、前年度の活動報告をする益子事務局員
前年度の決算報告をする会計担当の渡辺世話人
会計監査の結果を報告する会計監査担当の村尾世話人
今年度の予算案、世話人会役員案、活動方針案を提案する加藤世話人
今回は市内で俳句教室を主宰されている北林令子様と関係者の特別参加があり、原発問題をテーマとした俳句を披露していただきました。写真は俳句の紹介をされる北林さん。下記資料が参加者に配布され、神谷和子さん(右隣り)が読み上げられました。
記念講演を行う講師の中里勝芳さん。以下は講師の主な肩書き・経歴です。
・日本大学文理学部生命科学科 特任教授(専門は生物物理学)
・世界初の足踏み式人力発電機を開発、現在は人工光合成を研究中
・環境問題を考える会 代表
・下野市の水道水を考える市民ネットワーク 代表
講演はスライドを使い、下記の内容で行われました。
1.福島第一原発とその周辺の視察報告
(1)東京電力廃炉資料館の見学(福島原発事故の経緯と現状、反省と教訓、廃炉作業の予定、他)
(2)福島第一原発構内の視察(汚染水タンク、1〜4号機建屋、ALPS処理施設、海洋放出施設、他)
(3)中間貯蔵施設とその他の視察(中間貯蔵工事情報センター、中間貯蔵施設、海渡神社、大野駅、他)
2.日本の原発について考える
(1)原発は安全性(地震地帯に原発が50基以上も立地するのは世界中で日本のみ)
(2)原発の持続可能性(ウランは枯渇する資源、原発は脱炭素にならない、原発なしでも電力は賄える)
(3)原発のコスト(原発の電気代は安くない、放射性廃棄物の処分や廃炉作業は莫大なコストになる)
(補)最も重要なこと(肥大化したエネルギー消費量を減らし、世界のエネルギー格差を是正すること)
講演に聞き入る参加者の皆さん。会場は多くの参加者で満席の状況でした。
講演後の質疑の時間では、会場から多くの質問や意見が出されました。それらに丁寧に答える中里さん。
以下、当日回収したアンケートの中から主な意見・感想を紹介します。
・大変丁寧に貴重な資料で報告していただいたことに感謝。
・知らなければならないことがたくさんあってびっくりした。
・忘れていたことを思い出し、恐ろしくなった。
・先進国ほど電力を消費するエネルギー格差にどう対処するかが問題。
・東海第二原発の廃炉に向けた市民運動が必要ではないか。
・「原発はいつでもやめられる」との理解を今後も続けたい。
・このような講演をいろんな所でもっと開催して欲しい。原発には反対。
・講演は大変よかった。危険な原発をなぜ日本はやめられないのか。
この情報は、「環境問題を考える会」により登録されました。