環境問題を考える会・第2５回総会＆記念講演を開催

　２０２２年７月２４日（日）午後１時半より下野市市民活動センター研修室３において、環境問題を考える会の第２５回総会および記念講演を開催しました。折からのコロナ感染拡大が懸念されましたが、参加者は会場の定員内に収まり、マスク装着や３密回避・消毒による感染対策を徹底することができました。
　総会では下野市環境課の篠崎課長から祝辞と激励の言葉をいただいた後、前年度の活動報告と会計報告がされ、今年度の予算、世話人会役員および活動方針が提案されて、いずれも満場一致で承認されました。また今回は２５周年記念として、総会の最後に（駆け足でしたが）２５年の歩みを振り返る報告もスライドで紹介しました。
　続いて行われた記念講演「ごみは燃やさず、埋めず、減らすもの～改めてごみ問題の本質と課題を考える」では、２５周年記念として会の原点に立ち返り、設立当時からご指導いただいた熊本一規先生（明治学院大学名誉教授）にごみ問題の本質や課題について分かり易く解説していただきました。以下、概要を紹介します。なお、当日の案内については下記サイトを参照下さい。
https://shimotsuke.genki365.net/G0000019/system/event/4463.html

当日の会場入り口に設置された受付（資料の配布、会費・カンパの受付等）

総会の司会として開会を宣言する平戸事務局員

開会の挨拶をする中里代表

来賓として下野市環境課の篠崎課長より祝辞と激励の言葉をいただきました。

今年度の世話人会役員と活動方針を提案する加藤世話人

総会の最後に２５年間の活動をスライドで振り返り紹介する益子事務局員
設立の発端となった産廃焼却施設の反対運動から、その後の地域環境問題への取り組みが紹介されました。

記念講演に先立ち、講師である熊本一規先生の経歴等（下記）が紹介されました。
・東京大学工学部都市工学科卒、同大学院博士課程修了（工学博士）
・明治学院大学国際学部教授を経て、現在同大学名誉教授
・ごみ／リサイクル問題で市民側からの政策批判を行うとともに、ダム・原発・都市政策等で
　地域住民のサポートを続けている。
・「日本の循環型社会づくりはどこが間違っているのか？」（合同出版）、「脱原発の経済学」
　（緑風出版）他、著書多数

講演の初めに挨拶と自己紹介をされる熊本先生

講演は資料とスライドで行われました。講演内容の要点は以下の通りです。
１．廃棄物政策は成果を上げたか
１）廃棄物政策の目的の推移（公衆衛生から環境保全、資源循環型社会づくりへ）
２）廃棄物政策の問題点
　① 一般廃棄物〜税金負担のごみ処理の問題点、有料化では解決できない、拡大生産者責任が鍵
　② 産業廃棄物〜産廃処理を市場に任せるのは誤り
　③ リサイクル〜拡散型リサイクルには公共管理が必要、プラスチックリサイクルはマテリアル優先でよいか
２．汚染防止の取り組みは成果を上げたか
１）６０年代以降の環境問題の推移（公害問題と環境関連法、処理施設と住民の反対運動、処理技術の改善）
２）環境汚染の危険はなくなったか（汚染物質は汚水処理施設と処分場を循環するだけ、遮水シートの劣化等）
３．環境運動の課題
　① 分別と拡大生産者責任（EPR）
　② 産廃・拡散型リサイクルの公共管理
　③ 工場跡地・処分場跡地の永久監視制度（水利権の活用）

廃棄物は負の財であるため、有料化すれば不法投棄が不可避であることを解説する熊本先生

ドイツの家庭ごみ分別ボックス（ミニチュア）でEPRによるデュアルシステムを紹介する熊本先生

熊本先生から紹介されたドイツのリユース・ペットボトル（底面に８回再使用した印がある）
ドイツではリユースが当たり前？日本ではリユースが普及せず、水平リサイクル（ボトル to ボトル）へ移行

講演後の質疑では参加者から多くの質問があり、熊本先生から丁寧な回答をいただきました。